モデルコリレーションとは

振動解析(シミュレーション)を用いて振動設計を行う上で大切な「モデルコリレーション = シミュレーション精度の向上 」についてご紹介させていただきます。

 振動設計とは

Figure 4.1. シミュレーションモデルの例

様々な性能要件や製造要件を織り込んで設計された製品が試作前にどの程度振動目標を達成できているかを予測して、もし目標未達であれば改善案を検討するのが振動設計の主な目的です。
具体的には構造図面やCADデータをもとにシミュレーションモデルを作成してCAE解析により断面形状や板厚を算出して設計へフィードバックします。
ここで課題となるのがシミュレーションモデルの予測精度、すなわち実機の振動をどの程度再現できているか、という点です。もし実測値を良好に再現できていないモデルで構造検討を行っても、試作機の試験結果は予測とかけ離れたものになってしまい、再度「設計変更 → 試作 → 試験」のサイクルを回す必要が生じます。

 モデルコリレーションとは

Figure 4.2. 振動モデルの例

そこで大切になるのがモデルコリレーションです。シミュレーションモデルは複雑な構造であってもFigure 4.2のような1自由度系モデル同様に「質量・剛性・減衰」で表現されるため、これらのパラメータが実機と一致していればシミュレーション結果は実機の試験結果と一致します。
モデルコリレーションとは、これらのパラメータを実機試験によって確認し、シミュレーションモデルに反映することを意味します。
実際には新製品の設計段階で試作機は存在しないため、現行機をベースに新製品の主要な構造要素を織り込んだ供試体を製作して試験できれば理想的ですが、それができない場合は、代替方法を検討することになり、この点もCAEエンジニアに期待されるスキルのひとつだと思います。