テストモーダルモデル(実験モーダルモデル)
実験データからNastranモデル作成
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Nastran(有限要素法解析)の振動解析には、使用するモデルによって2つのパターンがあります。
パターン1) すべて有限要素モデルを用いる場合(通常の解析)
振動解析を行う場合、通常は図面をもとに有限要素モデルを作成しますが、実機の振動特性(共振周波数、固有モード)を精度良く再現するために、実機の「モーダル実験」(ハンマリング実験)を実施して、実験データを衝(ショウ)とした有限要素モデルの精度向上を図ります。この作業のことを「モデルコリレーション」といいます。
パターン2) 詳細検討する部品のみ有限要素モデルを用いる場合
詳細な検討を行う部品以外は有限要素モデルを作成せず、代わりに実験データを直接シミュレーション可能な形態に作り替えて用います。これを「テストモーダルモデル」といいます。詳細検討する部品の有限要素モデルを作成し、テストモーダルモデルに結合することで全系解析することができます。
以下に具体例を示します。

エンジンにオイルパンが結合された構造をモチーフにしたモデル(Figure 1.1)を用い、オイルパンの詳細な形状検討を前提としたテストモーダルモデルの適用例をご紹介します。

本例では、Figure 1.2のようにエンジンの振動によってオイルパンに生じる面外振動(周波数応答)を算出して、オイルパンの板厚や形状を検討します。
全系を有限要素モデルとしたパターン1とエンジンをテストモーダルモデルとしたパターン2で各々オイルパンの振動を算出します。エンジンにテストモーダルモデルを用いると、エンジンの有限要素モデルが無い場合でも全系解析が可能となります。(Figure 1.3)
パターン2で作成する有限要素モデルはオイルパンのみであるため、エンジンのモデル作成およびモデルコリレーションが不要となります。
大規模な有限要素モデルを縮約して計算時間を大幅に短縮できるモーダルモデル(=解析モーダルモデル=理論モーダルモデル)については以下のリンクをご参照ください。
▶ モーダルモデル(解析モーダルモデル)のご紹介

※グラフはイメージ図であり、実際の解析結果ではありません